「背水の陣」という言葉の意味
初めまして!ITS2課長のまつです。
今回はある有名な故事について、普段のお仕事と絡めて投稿したいと思います!
「背水の陣」という言葉を聞き及んだことがある方は多いのではないでしょうか。
また、「背水の陣」は自ら死地に赴くことにより、少数で大軍を正面から破った策である、と思っている方も多いのではないでしょうか。
「退路を断って死ぬ気でやればできる」といった使い方をされがちな「背水の陣」という言葉ですが、語源となったエピソードを辿ると、この言葉は結構誤解されていると感じています。
「背水の陣」は、中国の楚漢戦争の時代、後の漢王朝の創始者劉邦の配下であり、「国士無双」の語源となった名将韓信のエピソードから生まれた故事です。
圧倒的に兵力が少ない韓信率いる漢軍は敵国の趙軍の城を攻めあぐねました。
そこで韓信は別働隊を隠して城に攻撃を仕掛け、敗走を装って川を背に戦う(退路が無い場所に陣を布く)という戦術を取りました。
趙軍は圧倒的に有利な状況に慢心し、城には僅かな守備隊を残すのみで、手勢の大半を率いて川を背に陣を布いた韓信を追撃しました。
その間に守りが薄くなった城を別働隊が陥落させて漢軍が勝利を収め趙を滅ぼした…というのが一連の「背水の陣」の流れです。
そもそも正面から戦うための策じゃないですよね。
仕込みに仕込んで、別働隊も駆使して、大軍と正面から戦わず勝つための策だということです。
全体を見てみると「背水の陣」は単に「退路を断って死ぬ気でやれば勝てる」といった精神論ではなく、全ては少数の手勢で大軍に勝つために綿密に練られた高度な戦略であったことが分かります。
残念なことに「死ぬ気でがんばれば何とかなる」「当たって砕けろ」といった精神論のみがピックアップされて現代に流布されているように思えます。
「背水の陣で臨もう」などと安易に言うのは禁物。そしてそれは仕事においても同様です。
リーダーの綿密な作戦を欠く精神論のみの勝算なき背水の陣は、部下を疲弊させるだけで終わります。
私たちが「背水の陣」という故事から学ぶことは、慢心しないことの大切さ、そして大局を見て戦略を立てることの大切さではないでしょうか。